2020/10/18 19:48
秋の期間限定品『 Luna / ルーナ 』の裏話です。
映画のメイキング映像や、物語の作者あとがきのように、『 Luna / ルーナ 』とセットで楽しんでいただければと思います。
栗の話
ひと口に栗を言っても、いろいろな種類があります。
大きく分けて3種類。
和栗、西洋栗、中国栗です。
和栗は、丹波栗とかが有名ですね。
西洋栗は、イタリア産が多いみたいです。
中国栗は、天津甘栗とかよく聞くんじゃないでしょうか。
で、今回使っているのは天然の柴栗。
別名、山栗と呼ばれるものです。
別名、山栗と呼ばれるものです。
その名の通り、山で自生してるタイプの栗ですね。
粒を丸ごと使ったお菓子にしたくて小粒のものを探していたんですが、いざ探し初めてびっくり、タイミングを逃すと手に入りにくかったんです。
人の手で栽培されている品種は、いわゆる「里栗」がほとんどで、粒が大きいものばかりだったりします。
小粒なのは天然の柴栗くらいのものでして、「勝手に育った」みたいな感じなので、市場にはあまり出回らないそうなんですね。
基本的には道の駅や直売所、物産館のような場所でしか手に入りません。
タイミングを逃すと手に入りにくい、というのはそういう理由なのでした。
渋皮煮の話
実は、生栗の状態から加工していくのは初めての経験でした。
試しに焼き栗にして食べてみると、ほくほくで栗の香りが立って美味しくてですね。
これは美味しいお菓子が出来そうだと、早速お菓子の試作をしてみたわけですが、現実はそう甘くはありませんでした。
単体で食べた時に、たしかに感じた栗の甘さや香りが、チョコレートにかき消されてしまっていたんです。
食感や口溶けもバランスが悪く、とても美味しいとは言えない状態でした。
そこから試行錯誤を繰り返し、「どうやったら栗の美味しさを感じることができるのか」を探すことに。
その結果、「水分」と「糖分」が必要だという結論にたどり着きました。
そして、その両方を満たしてくれるのが「渋皮煮」だった、というわけです。
渋皮が口に残らないように、ひとつひとつ手作業で掃除をしていき。
栗の香りをかき消さない程度の糖度を狙いつつ、シロップで煮込んで水分も足していき。
チョコレートとの相性を考えて、洋菓子テイストに仕立てるために、ほんの少しだけバニラの香りを足し。
そうやって丁寧に積み重ねていった栗を丸ごと一粒、メインに据えているのでした。
きんとんの話
『 Luna / ルーナ 』はイタリア語で「月」を意味する言葉でして、このお菓子では秋の名月を表現したかったんですね。
そこで、栗の味わいを強めるという役割も兼ねて、栗きんとんを添えました。
栗の舌触りを消さないように、渋皮煮を手作業で漉しています。
そしてそのままだと黄色味が足りないので、舌触りが近いかぼちゃを少しだけ加えて炊きました。
これも洋菓子テイストにしつつ、香りの層を作り出すために、アルコールを飛ばしたラム酒を少しだけ加えています。
バニラもラム酒も、栗ととても相性がいいんですよね。
おかげで、栗きんとんだけでも十分美味しいものが、チョコレートと組み合わさることによってさらなる美味しさを作り出しているのでした。
全体の話
これまで栗にたくさん手を加えて、美味しさを引き出してきたわけですが。
その食感や味のバランスを崩すようなチョコレート要素をいれるわけにはいかないわけです。
そこで採用したのが、チョコレートとアーモンドをたくさん使った焼き菓子。
オペラというお菓子に使われる「ビスキュイ・ジョコンド」や、タルトの中身によく使われる「クレーム・ダマンド」に近い味わいを目指して作り上げました。
香ばしさと甘さと口溶けが、栗との相性抜群です。
また、渋皮煮の表面には飴がけをしていて、見た目の艶やかさはもちろんのこと、全体的に秋らしさをもたらしてくれています。
おわりに
今年は栗の争奪戦に出遅れたせいで、たくさん確保することができなかったので、来年は十分な量を確保できるようにしていきたいですね。
このお菓子で栗の美味しさをたくさん感じていただけたら嬉しいです。
あなたのお口に合いますように。