2020/04/05 13:39
春の期間限定スイーツ『さくら-SAKURA-』の裏話です。
映画のメイキング映像や、物語の作者あとがきのように、『さくら-SAKURA-』とセットで楽しんでいただければと思います。

桜の美しさを一番感じる瞬間はいつでしょうか。
個人的には、「花びらが散るとき」だと思っています。
淡い色の薄い花びらが、ちょっとした風で舞い散る。
儚い終わりの姿に、心を奪われてしまいます。
いわゆる「わびさび」というものです。
日本人ならではの美的感覚。
これを自分なりに表現したい一心で、試行錯誤を繰り返しました。
その結果出した答えは、桜の「美味しい」を桜だけで成り立たたせるのは難しい、ということでした。
たしかに、エッセンスを入れれば桜のお菓子はできます。
しかし桜の花びらと同じように、エッセンスだけでは淡く、薄く、儚い。
だからといって、たくさん入れればいいというわけでもない。
ならば今回は、枠組みを作って桜を感じやすくしたほうがいいのではないかと考えたわけです。
それはつまり、括弧でくくって「強調する」ということ。
白のそばに黒をおけば、白がより白く見えるように。
スイカの甘さを引き出すならば、砂糖ではなく塩のほうが美味しいと感じられるように。
咲いた桜をより鮮明に感じられる土台を作ってあげればいいのでは、と。
そしてここでイメージしたのは桜の本来の姿です。
枝があり、幹があり、花があり、根があり、土があり。
散った後には、緑が芽吹きます。
これをそれぞれ表現してみました。
力強く全体を支える土や根、幹をチョコレートで。
四方八方に広がり、花を支える枝をアーモンドで。
口に中で花が咲き乱れるように、チョコレートにはエッセンスだけでなく、桜の葉を混ぜ。
サブレやクリームにしたかごしま茶は、淡くぼやけがちな花の輪郭をくっきりとさせるだけでなく、後味にほんのりと渋味を残すことで新緑の足音を感じさせてくれます。
しばらく噛んだあと、飲み込む前に深呼吸をすると、より桜を感じることができるでしょう。
花は花だけでは咲きません。
それを支えるものがあるからこそ美しく咲くことができるのだということを、このお菓子で感じていただけたらと思います。