2020/01/21 22:34



いらっしゃいませ。

Tigre Chocolat は、全てグルテンフリーのチョコレートケーキ専門店です。
小麦だけでなく、卵や乳製品も使用しておりません。

「素材を活かしたシンプルな美味しさ」を目指して、一つ一つ心を込めて手作りしています。









ー店名についてー




読み方は「ティーグルショコラ」。

「Tigre」はフランス語で「虎」という意味です。

「虎」という字は私の名前の一部であり、祖父から譲り受けた大切な一文字でもあります。
「この店を大切にしていきたい」という想いを込めて、「Tigre Chocolat」を店名としました。











ー卵・小麦・乳製品を使わないワケー


私はずっと、「ケーキは人を幸せにする食べ物」だと信じてきました。
しかしどうしても、ケーキでは笑顔にできない子が身近にいたのです。

彼は卵アレルギーを持っていました。

アレルギーというのは本人の意思に関係なく、体が拒みます。
どんなに美味しくても、どんなに高級でも、どんなに食べたくても、「食べることができない」のです。


周りのみんながプリンを食べているのに、一人だけゼリーを食べている。
誕生日ケーキを美味しそうに食べる人の横で、見ていることしかできない。

彼は、そういった寂しい思いを何度もしてきました。

「なんとかしてあげたい。」
「ことあるごとにケーキを食べたがる彼に、美味しいケーキを食べさせてあげたい。」

そんな思いで試行錯誤を繰り返し、出来上がったチョコレートケーキをプレゼントしました。

彼はバクバクとすごい勢いで食べ、こう言ってくれたのです。
「おいしい!ありがとう!」


この瞬間、全てが報われた気持ちになりました。
喜んでもらえて本当によかった、と。


食べた人も、食べさせた人も、その場のみんなが笑顔になる出来事でした。


この出来事を、日本各地で起こすことができたなら、それはどれだけ幸せなことでしょうか。

私は相も変わらず、「ケーキは人を幸せにする食べ物」だと信じています。

ささやかながら、この幸せの輪を広げるための力になりたい。
少しでも多くの人が笑顔になれる瞬間を作りたい。


そんな想いがあるからこそ、Tigre Chocolat は卵・小麦・乳製品を使わないのです。










ーTigre Chocolatの原点ー


チョコレートは幼い頃から好きでした。
その甘い香りととろける舌触りに、魅了され続けています。

美味しいチョコレートを探していたある日、私は「Bean to Bar」と呼ばれるチョコレートと出会いました。
「Bean to Bar」とは、カカオ豆の選別・仕入れから製造・販売までを一つのブランドが手掛けるという、新たなチョコレート作りのスタイルです。

その出会いは衝撃的でした。
たったの一口でチョコレートの固定観念は崩れ、その美味しさに意識をすべて持っていかれてしまったのです。

それまで私が認識していたチョコレートの味のバリエーションは、「甘い」か「苦い」だけでした。

しかし、「カカオ豆と砂糖のみ」というシンプルな素材で作られたチョコレートは、とても個性豊か。

フルーティーなもの、酸味が強いもの、コクの深いもの、渋みの強いものなど、豆の種類が変われば味わいも全く別のものになります。
新たな味覚を開拓されたような感覚でした。

この出来事がきっかけで、「ただチョコレートが好き」という気持ちが、「もっとチョコレートを楽しむ方法を見つけたい」という欲求に。

そしていつしか、「チョコレートのいろいろな楽しみ方を、自分の手で作り出せるようになろう」という意志に変わっていきました。


私が「卵・小麦・乳製品を使わないで作るケーキ」について考え始めたのは、その頃です。

そのため「その3つ以外に使える材料は何か」を考える中で、主軸にする材料としてチョコレートを選んだのは、私にとって自然なことでした。


こうして作られたチョコレートケーキが、現在のTigre Chocolat の原点です。



 



ーシンプルでありたいー


洋菓子の本場であるヨーロッパを旅した時のこと。

お店に並んでいる多くのケーキが「シンプル」だということに気付きました。

焼きっぱなし、切りっぱなし、絞りっぱなし。
けれどもその、飾られていない姿が美しいのです。

(↑ウィーンのカフェで頂いたデザート)



見た目だけではありません。

卵がおいしい、バターがおいしい、果物がおいしい。
素材の美味しさをそのまま感じられるものばかりでした。


この体験は、私のお菓子作りに大きな影響を与えました。

「素材の美味しさをそのまま感じられるケーキにするには、どうすればいいのだろうか。」
そう考えるようになったのです。

素材を味わうために、味を「足し算」するのではなく、「引き算」していく。

そういった「素材に合わる」スタンスで、お菓子と向き合っています。